Amazonは2025年2月より、新たなショッピング機能「Buy for Me」のベータテストを米国の一部顧客向けに開始した。これはAmazonアプリ内の検索結果に、自社で販売していないブランド商品も表示し、他社ブランド公式サイトからの購入をAIが代行するという、従来のeコマースの枠を超えた試みである。
機能の概要
顧客がAmazonアプリでブランド名を検索すると、Amazon取扱商品とともに「Shop brand sites directly(ブランド公式サイトから購入)」というセクションが表示され、対象ブランドの商品が並ぶ。
「Buy for Me」対象商品を選択すると、Amazonアプリ内に商品詳細ページが表示され、内容を確認後、「Buy for Me」ボタンをタップすると、Amazonが顧客に代わってブランド公式サイトで商品を購入する。
AIによる購入プロセス
この仕組みは、Amazonの生成AI基盤「Bedrock」上で稼働しており、Amazon NovaとAnthropic Claudeのエージェント型AIが、商品選定からブランドサイトでの決済までを自律的に実行する。顧客情報は暗号化されており、Amazonは他のブランドサイトでの購入履歴にはアクセスできない。
購入後、顧客はブランドから直接確認メールを受け取り、配送や返品、問い合わせはブランド側が対応する。注文の進捗はAmazonアプリ内で追跡可能である。
戦略的意義
この機能により、Amazonは自社が取り扱わない商品へのアクセスと購入を可能にしつつ、ブランド側にも新たな露出と販路を提供する。Shopping DirectorのOliver Messenger氏は、「Buy for Meは、Amazon外の商品を探しやすくし、ブランドの販促にも貢献する次世代ショッピング体験」だと述べている。
背景と比較
Googleは2002年からショッピング検索を提供し、2020年以降は無料出品、2021年からはセール表示も実装。Amazonの「Buy for Me」はこれに追随する形で、検索・発見から決済までをAmazonアプリ内で完結させる点が特徴である。
今後、対象ブランドや利用可能顧客を段階的に拡大予定であり、AmazonのAI主導型コマース戦略の大きな一歩として注目される。
