イギリスのEU離脱(Brexit)がいよいよ動き出しました。
これは 、イギリスの小売業にとっては、いくつかのチャレンジを突きつけることになります。
1) 仕入れ原価アップ
為替では、イギリス・ポンド安になっています。
このためイギリス国外から輸入する商品の価格が上昇しています。
先日、TescoとUnileverとの間での価格交渉が決裂し、Unileverの商品がイギリスのTescoの店頭から消える、ということが起きました。
交渉決裂するケースが続くとは思いませんが、このように仕入れ原価が上がることは、今後も続きます。
かつて1980年代、イギリス経済はとても冷え込んだ時期がありました。
その時期から、店頭売価を上げないよう、オペレーションの効率化、固定費の削減、PB書品の開発などに努めてきたのが、イギリスの小売業です。
仕入れ原価のアップを店頭売価に反映すれば、購買意欲を冷やしてしまう。しかし自社の利益を圧迫してまで仕入れ原価アップ分を吸収しようとするのか。
これが最初のチャレンジです。
2) 物価上昇に伴う、消費の冷え込み
小売業の仕入れ原価が上がることで当然、店頭売価も上がりますが、それ以外の物価も上昇しています。
既にガソリン価格も、ポンド安の影響を受けて上昇し始めています。
イギリスは、食料品に限らず様々な物を、EUやEU域外の国々からの輸入に頼っています。
それらの物品の売価が上昇しますので、短期的には所得の向上が必ずしも伴わないため、消費が冷え込むことが予想されます。
冷え込んだ消費の中で小売業は、どうやって企業としての成長を確保するのか、これが2番目のチャレンジです。
3) 人材不足、又は人件費アップ
EUを離脱することにより、EU各国の人々がイギリス国内でビザなしで働くことが出来なくなります。
現在のイギリスでは、特に単純作業や低賃金で働き手は、イギリス国外のEU諸国からの人々に頼っています。EUを離脱すると、この人たちが働けなくなる可能性が出てきます。
その場合、新規にEU諸国からイギリスに来てビザなしで働くことは出来なくなりますが、今既にイギリス国内で働いているEU諸国の人が、今後も今と同じ条件でビザなしで働き続けることが出来るかが焦点になります。
これが3つ目のチャレンジです。
これらのチャレンジに一番直面するのは、大型店舗を抱えるTesco、Asda、Sainsbury’s、Morrisons、Waitrose等の小売業です。
一方、比較的影響が小さい、むしろ上記の大きな影響を受ける小売業の落ち込みを得ることが出来るのが、AldiやLidl等に代表されるハードディスカウンターです。
これを乗り越えるために、イギリスの小売業は、
・ 低価格ラインのPB商品の強化
・ 消費低迷に備えた固定費削減
・ 業務変革による作業削減/作業の機械化
などを今から強化していくと思います。
