英小売最大手Tescoは、Asdaなどライバル企業との競争激化を受け、2025年度の利益見通しを最大4億ポンド引き下げると発表した。
これは市場シェア28.5%という2016年以来の高水準を維持するための「戦略的柔軟性と資金力(firepower)」を確保する目的による。
Tescoは来期の営業利益を27億〜30億ポンドと予測し、前年度の31.2億ポンドからの減少を見込んでいる。この判断は、Asdaが「価格競争」に本格的に乗り出す姿勢を示したことを受けたもので、発表以降、Tescoの株価は16%以上下落した。
Asdaは近年の業績不振からの巻き返しを図っており、Aldiが生鮮食品・飲料カテゴリーでAsdaを上回ったとのKantarの未公表データも、競争環境の変化を裏付けている。
品質と商品力で差別化へ
CEOのKen Murphy氏は「Tescoは好調な品質評価とバリュー認識を背景に強い勢いを持って新年度に臨んでいる」と述べ、商品開発の成果を強調。2024年には1,000点以上の新商品を投入し、「Finest」プレミアムラインの売上は15%増、ブランド規模は25億ポンドに達した。
GlobalDataのアナリストは、Tescoの継続的なプレミアム強化がM&Sとの競争力を高めていると指摘する。
オンライン・即時配達でも拡大
オンライン販売は前年比10.2%増と好調。独自の即時配達サービス「Whoosh」は前年比で2倍の売上規模となり、大型店舗にも拡大。現在はDeliverooと連携しアイルランド市場へ進出している。
オンラインマーケットプレイスには現在40万点以上の商品を掲載し、F&Fの衣料ブランドも年内にECで展開予定。
Clubcard戦略と個別値引き
全国2,300万人の会員を持つ「Clubcard」も重要な施策であり、売上の84%にスキャンされている。現在は購買履歴に基づく**個別値引き「Your Clubcard Prices」**を試験導入中。さらにClubcard特典をオンラインマーケットプレイスのサードパーティ販売者にも拡大した。
「あらゆる局面に対応する準備がある」
Murphy氏は「価格競争やサービス強化など、どのような競争環境が来ようとも対応可能な体制を整えている」と自信を見せる。「価格マッチ」「Clubcard価格」「常時低価格」といった施策を組み合わせた“最適バリュー戦略”で、顧客の支持を維持する方針である。
Tescoは、短期的な利益圧縮を覚悟の上で、市場シェアと顧客基盤を守る戦略に本腰を入れており、プレミアム・価格・即時性・個別化の全方位施策で攻勢をかけている。
